先日研修で、様々な現場から様々な年齢層、様々な業務の人たちが集まって、グループワークをする機会がありました。
そこで20代後半くらいの人が、書記としてパソコンで議事録を打ち込むことになったのですが、その人はパソコンに慣れておらず、びっくりしてしまったのですが両手の人差し指で文章を打ち込んでいたのです。キー配置も覚えておらず、その人が打ち込むのを待つたびに会議が止まってしまう有様でした。
その時まで、僕は「年配の方はパソコンが苦手で、若い人ほどパソコンや機械操作に慣れている」というイメージだったのですが、その出来事があったことで考え直す必要があると感じました。
そこから、タイトルの事も含め、現在世間的に何が起こっているのかについて考えてみようと思いました。
現代のパソコン慣れ度は、3層化している!?
今までは、年配=パソコン苦手、若者=パソコンに慣れている という2層の構造となっていたと思うのですが、上記の出来事を考えると、年配、30~40代、30未満世代の3層になっているんじゃないかな?と仮説を立てました。その上で世間の現状を考えると、そうなって当然とも思えるようになりました。
スマートフォンのおかげで、パソコンに触れる機会が減っている
現代は、調べたいことがあれば、スマホで検索。文字入力はフリック入力。いまや動画もスマートフォンでほぼ見られる。機能だけで見れば、よほど処理が重いことをしないのであればスマートフォンやタブレットがあれば、パソコンを使う必要がほとんどなくなっていると思います。
そうなると、キーボードを打つ機会もほとんど持つことができません。結果、パソコン操作をほとんど覚えていない人間が量産される環境になってしまっていると思います。
今の若者が、パソコンに不慣れになってしまうのも納得できてしまうというものです。
働き方の不適合が加速していく恐怖
この件で、僕は割と恐怖を感じました。この状況と、世間の企業が目指している働き方が、ミスマッチを起こし、今後さらに加速していく可能性があると考えたからです。
僕が以前いた建設業界、不動産営業会社、そして今働いているビル管理業界は、どこも年配の方がITに慣れておらず、ITを活用するために若者が少しずつ働きかけている、という状況でした。情報管理も、アナログからデジタルへと向かい、ペーパーレス化の運動も推進される企業が増えていると思います。
少しずつデジタルが浸透し始め、これから定着させようかという時期だと思うのですが、今後新卒が入ってきたときにそのデジタル化の仕事の仕方にすぐに適合できない可能性が高いのではないかと思います。そうなってしまうと、効率化のために今まで積み重ねてきたデジタル化への取り組みが、逆に枷になっていくのではないかと思うのです。
そうすると、パソコンの使用に慣れていない人間が増えていくにもかかわらず、企業はパソコンを使う仕事に注力してしまい、結果として効率は下がり、社員も働きづらくなっていくのではないかと思います。
また、デジタル化を推進している人間からしても、なんのためにそうしているのかわからなくなってしまいます。
世間の働き方が崩壊しはじめていると考えられる気がしました。
今後に向けてすべき取り組みと意識
ご存じの通り、現在日本は円安で、経済的に厳しい世帯が増えています。各企業もコロナ禍の元で足元を維持するのがやっとの状態。そんな中でこの記事で危惧した、働き方のミスマッチが起こってしまうと、日本の不景気はさらに加速すると言えると思います。それを防ぐためには、各々が改善するための取り組みや意識を持つことが必要だと思います。
僕は、次のようなことが必要だと考えます。
・入力媒体の自由化
データの保存に関しては、アナログ、パソコン、スマートフォン、タブレットといった方法があると思います。セキュリティの観点もあり、会社はデータの入力媒体を仕事によって別々にしていると思います。
例えば、現場でのデータ管理は紙媒体で。お客様先でのやりとりはタブレットやスマートフォンで。会社での事務作業はパソコンで、といった形です。
ですが、これだと仕事によっては不得意な方法での情報管理を強いられることになってしまいます。不得意なことを普通程度にこなせるようになるには、時間と経験が必要になってしまいます。しかし、企業にはそれを有徴に待てるほどの余裕はないかと思います。
なので、手書き、パソコン、スマートフォン等、どの方法でも同一のデータにアクセスできる仕組みを作る必要があると思います。
新たな媒体の購入が厳しいならば、BYODを導入する方法もあるでしょう。考えれば、手段はいくつも浮かぶと思いますが、要は会社側が何かしら対応することができる問題であるとも思うのです。
・世代間で共通スキルを持つ
これは、働き手側の話です。年配の方ならアナログとパソコン、30歳以上の方ならパソコンとスマートフォン等のタッチ操作、30未満の方も、スマートフォン等のタッチ操作とパソコン。二つ以上のデバイスを操作可になることで、世代間のITスキルに共通点を作り、仕事に支障が出ないようにすることで、解決に向かうのではないかと思うのです。
遊びから入ってみる
とはいえ、語学の学習と同じように、新しいものに1からチャレンジするというのは、気力も時間も必要になってしまいます。なので、楽しみながら自然に覚えられるような方法から入ってみることを提案します。
僕の世代・・・というよりも僕の周りでパソコン操作が得意な人たちは、例えばMMORPG(インターネット上で同じゲームを同時に不特定多数の人たちと遊ぶゲーム)でチャットを打っているうちにキーボード操作に慣れ、効率的にパソコンを操作するためにショートカットを覚え、必要なことはパソコンから検索する等しており、そのうちに気づけばパソコン操作に慣れていった人が多かったです。
スマートフォンも、ゲームをしてるうちにスマートフォン自身の使い方に慣れていった、という人も多いのではないでしょうか。
現代は特に、スマートフォンは生活に必須なものになっていますから、スマートフォン操作については今からでも習得はそう難しくないのではないかと思います。
パソコンはまだまだ必要となる
最近、インフルエンサーが「パソコンなんていらない。スマートフォンでほとんどの仕事ができる」と発言していたのを見ました。スマートフォンでほとんどの仕事ができる、という件については僕も概ね賛成ではあるのですが、だからといって、パソコンが不要になるとは少しも思えませんでした。理由としては、
多数の企業の作業が、パソコンベース行われていること
マシンスペックが、まだまだ携帯端末より優れていること
の二つが挙がるのではないかと思います。
特に、マシンスペックについては、世間的にメタバースやVRが叫ばれている今、いずれ必ず必要になる要素だと思います。
自身の職業や働き方に、パソコンが必要ないと予めわかっているのであればよいと思いますが、パソコンを使う可能性があることに気づいているのでしたら、今のうちから取り組むことをオススメします。今からでも全然遅くないはずです。
最後に
私自身、最近まで久しくパソコンに触っていませんでした。それでも不自由なく暮らしてはこれています。
なので、小さいときからスマートフォンに慣れ親しんでいる世代は特に、スマホ以外の操作の必要性は感じづらい環境なのかな、とも思います。
でも、何かを成すためには、パソコンを活用したほうがはるかに効率的なことは、今でも山ほどあります。
世代関係なく、改めてパソコンスキルを持つ人の割合が今後増えていくといいなぁ、と思います。